【コンディショニング講座】第10回瞬時の状況判断 - 女子フットサル|PANNA-FUTSAL

【コンディショニング講座】第10回瞬時の状況判断

2016年3月 2日 18:53

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【瞬時の状況判断】
 フットサルは、コートでボールや敵味方の選手が絶えず動き回り、相互の位置が目まぐるしく変化するのに対応しなければならないスポーツです。そのためには情報収集のために「見るチカラ」が重要になってきます。近年はスポーツ分野におけるビジョントレーニングが注目されるようになってきていますが、フットサルのパフォーマンス向上のためにも重視していきたい分野でしょう。
 
 スポーツで必要な「見るチカラ」は大きく4つに分けられます。
・はっきり見えていること
・動くものを追跡してはっきり見ることができること
・広い視野があること
・瞬間的にパッと判断できること
 
 例えばドリブル中、選手はボールだけでなく同時に相手や味方の動きや位置を把握していなければなりません。このように、あるものと同時に周りを見ることができる視野の広さを「有効視野」と呼びます。ビジョントレーニング関連の書籍には、日頃の練習に取り入れながら実践可能なメニューが紹介されていますから、是非参考にしてみて下さい。
 
 練習時以外でも、移動中の車窓から見える看板の文字を随時確認することで鍛えられる「動体視力」、本や雑誌を一瞬だけ見て閉じ、何が見えたのかをできるだけたくさん思い出すことで鍛えられる「瞬間視」など、日常のちょっとした時間を活用して強化できる能力はたくさんあります。ただ、トレーニングの効果が出るまでには数ヶ月を要しますから、継続して行えるように頑張りましょう。
 
 ビジョントレーニングの詳細に関しては専門書を確認していただくこととして、トレーナーという立場からはその前提となる身体の部分についてお話したいと思います。現代はスマートフォンやパソコン作業などで目の疲れを引き起こしやすくなっていますね。スポーツ中に「目のチカラ」を活かすためには、眼精疲労に対するケアも重要です。目の疲れや肩こり、ドライアイなど自覚している症状があれば、目とその周辺を温めてみましょう。
 また、メガネやコンタクトレンズを使用して視力矯正をしている方も多いと思います。専門医のもとで定期的に診察していただき、視力に合ったものを使うように気をつけましょう。コンタクトレンズはしっかりと洗浄するとともに、使い捨てレンズの場合は必ず使用期限を守るようにしましょう。プレー中にゴミが入ったり、衝撃や接触の影響でレンズが外れてしまうことも少なくありませんから、ベンチには必ず予備を用意しておいて下さい。
 
 視力回復に効果があると言われている食べ物と言えば、ブルーベリーでしょうか。それ以外にも、青魚の脂に含まれるDHAが効果的であるという報告もあります。まずはバランスの良い食事を意識することが大切ですが、気軽に摂取できるサプリメントもありますから、一度試してみるといいかもしれません。
 視野の確保には、正しい姿勢を保持することも重要です。背中が丸まった猫背の状態と、姿勢を正した状態では、視野の広さがかなり変わってきます。不適切な姿勢では、首をはじめとした身体各部位の可動域も制限されてしまいます。「見るチカラ」を発揮するためには、様々な観点からのアプローチが可能ということを理解していただき、パフォーマンスのさらなる向上につなげていただきたいと思います。
 
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【動きにつなげる】
 目をはじめとした五感でキャッチした情報を脳で処理し、身体の動きにつなげるという一連の過程がスムーズであるほど、フットサルのような瞬時の状況判断とその対応が重要なスポーツには有利となります。このために必要となるのが、コーディネーション(調整力)やアジリティ(敏捷性)といった能力でしょう(アジリティトレーニングはコーディネーショントレーニングの一部と位置づけられることもあります)。
 サッカーよりも狭いコートで、急激なストップや方向転換が多く求められるフットサルの場合は、バスケットボールやハンドボールのような脚力、フットワークが求められます。しかし日本の女子フットサル選手の場合は、この部分がまだまだ足りないと思うことが少なくありません。逆に、こういったフィジカルフィットネスを向上させることで、世界でももっと闘えるようになるのではと期待しています。
 上記のことを踏まえ、コーディネーショントレーニングやアジリティトレーニングを積極的に取り入れてみて下さい。全体のウォーミングアップの一部として行うのもいいでしょう。まずは身体のコンディションを整え、その身体を活かし、より良いパフォーマンスにつなげるという全ての過程を見直し、進化していきましょう。
 
<参考文献>
・ 一流選手になるためのスポーツビジョントレーニング(講談社;2014)
・ 選手と指導者のためのサッカー医学(金原出版;2005)
 

 

 

 

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