【コンディショニング講座】第4回女性の身体の特徴

2015年9月 3日 12:20
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【女性の身体の特徴】
 
男性と女性の身体つきに違いがあるのは明らかかと思います。では、それが競技やケガのリスクにどのように関与するのかを視野に入れながら、いくつかの特徴を取りあげてみましょう。
 
最も大きな違いは、骨盤の形態です。男性では縦に大きく、女性では横に幅広いという特徴があります。そのため、女性の場合は股関節の位置が身体の中心よりもやや遠い位置に存在します。こういった骨の配列から、女性の膝は男性に比べて外反傾向にあり、内旋しやすく外旋しにくいとも言われています。
 
それから、皆さんは体力測定などで関節の緩さを把握するためのテストを受けられたことがあるでしょうか。
 
関節弛緩性テスト
1)手関節:手首を曲げ、親指が腕につくかどうか
2)肘関節:肘を伸ばしきったときに、肘が15度以上反るか
3)肩関節:片手を上から、逆の手を下から後ろに回し、背中の後ろで両手の指を握れるか
4)股関節:かかとをくっつけて立ち、両足を外側に180度以上開けるか
5)膝関節:立位姿勢で膝が10度以上反るように伸びるか
6)足関節:足裏を床から離さずにしゃがんだ際に、足関節が45度以上曲がるか
7)脊柱 :立位で前屈した際に、手のひら全体が床につくか
 
全身で7部位の項目を測定する関節弛緩性(かんせつしかんせい)テストでは、女性の方が陽性になりやすく、男性よりも全体的に関節が緩いという傾向が見られます。この関節弛緩性テストとケガの発生率の関連性は議論がなされているところですが、たとえば膝関節に弛緩性があると、膝蓋骨脱臼や前十字靱帯損傷などが多く発生するという報告などもあります。なお、月経周期に伴う内分泌変化が関節弛緩性に影響を及ぼすという報告もありますが、現在のところは断定できるようなものではないようです。
 
その他、骨格が成熟するのは女性の方が早い、体重に占める除脂肪量や筋重量の割合が低い、などの特徴が挙げられます。これらを踏まえて、ケガを防ぐための取り組みを積極的に行っていきましょう。
 
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【疲労骨折】
 
男女の骨密度を比較すると、女性の方が低い値を示します。また、女性アスリートの方が疲労骨折の発生率が高いという報告もあります。特に持久系の競技で無月経を伴う場合や、厳しい体重管理のために食事制限などをしている場合には気をつけなければなりません。
無月経を長期間放置してしまうと、難治性の排卵障害につながる可能性もあれば、アスリートの場合は骨強度の低下により、骨粗しょう症と同様の状態を招いて、疲労骨折のリスクを高めてしまうこともあります。無月経期間が三か月以上続くようであれば、早めに婦人科を受診しましょう。そして「無月経」、「骨粗しょう症」「low energy availability (利用可能エネルキ?ー不足) 」を女性アスリートの三主徴と呼び、その健康被害が危険視されていますが、競技にリスクは付きものと軽視するのではなく、気になる点があれば積極的に専門家に相談するようにしましょう。
 
【傷害予防のためにできること】
 
女性の身体特性について改めてまとめてみると、下記のようになります。
・骨の配列に特徴がある(骨盤が広い、膝の外反が大きい)
・関節の弛緩性が高い
・筋力が少なく体脂肪が多い
・月経の影響を受ける
これらの特徴を踏まえると、外傷や障害の予防のためには以下のことを念頭に置き競技に臨みましょう。
 
・正しい姿勢を保持する
・競技において適切な基本動作を習得する
・関節の安定性、支持性を高めるために、関節周囲の筋肉を強化する
・オーバーユースに気をつけ、しっかりと休息を取る
・身体組成をきちんと管理する
・適切な栄養を摂取する
・月経異常があれば早急に専門家に相談する
フットサルはストップ動作や方向転換が比較的多く見られる競技です。特に日本のフットサル選手はサッカー出身者が多く、競技転向の直後は狭いコートでの激しい方向転換に身体がついていかないこともあるかもしれません。その際に身体の各関節がしっかりと連動しなければ、ケガのリスクは高まってしまいます。
たとえば、膝関節の前十字靭帯損傷が女性に多い理由として、女性の場合は着地時に膝の外反がさらに大きくなりやすいという報告もあります。こういった動作を修正することが予防につながります。フォームを確認し、正しい身体動作を習得するためには繰り返し動作練習を行ったり、各種エクササイズや競技練習の際に常に意識して取り組むことが大切です。最近では様々な競技団体が、こういった予防用のプログラムを提供していますから、参考にしてみるといいでしょう。