大会総括

2010年11月 7日 21:40

今年の全日本女子フットサル選手権は初出場の武蔵丘短期大学シエンシアが優勝を果たした。埼玉県リーグに参戦するという噂を聞いた際に知人から「ムサタンはフットサルに合ってるかも」という話を聞いた事があった。武蔵丘短大は現在関東女子大学リーグ1部に所属。秋のリーグ戦では2分けしたもの無敗で2位という好成績を挙げている。毎年のようになでしこりーぐ(Lリーグ/日本女子サッカーリーグ)に選手を輩出し日本代表へも選出されている。サッカーのスタイルはパスサッカー。「理想はバルセロナ」そう語る河合監督はつなぐサッカーにこだわる。それが故に卒業してなでしこリーグで活躍した後も「武蔵丘短期大学でサッカーを続けたい」と言うOGも多いようだ。今回のフットサル参戦も戻ってきたOGの受け皿の創設とサッカーで培ったパスサッカーがどれだけフットサルで通用するのか試してみたいという興味もあったようだ。河合監督はJFAでも数多くの役割をを担ってきた大学女子サッカー界指導者の第一人者。様々な分析を行う中でフットサルとサッカーの関係性について以前より興味を持っていたようだ。

河合監督曰く「優勝できるとは思っていなかった」と謙虚に語る。フットサル参戦以来フットサルへのリスペクトと謙虚な姿勢は変わらない。「自分たちは新参者。迷惑をかけないようにしたい。」と常々話していた。追われる立場になりますねという質問にも「自分たちの本分はサッカー。優勝はうれしいが追われる立場と言われてもピンと来ない」と答える。実際にフットサルの練習はほとんどしていない様子。そして来年のフットサルへの参戦も現在の所、まだはっきりとしていないらしい。現在継続の方向で検討しているが、それは選手や学校側の意向もある。ただ少なくとも来年の全日本女子フットサル選手権だけは参加する予定でいるようだ。

武蔵丘短大の強さは何だったのだろうか。高いスキル、フィジカル、メンタル、チームワークなど様々あると思うが、一番の強みは判断力ではないかと分析している。フットサルの練習をほとんどしていないとの事だが、狭いコートで何が有効かを考え、最低限の約束事だけで場面場面で的確な判断ができていたからではないかと推測している。それは武蔵丘短大のつなぐサッカーの中で培われた能力だろう。

更に今大会の武蔵丘短期大学シエンシアの優勝にはいくつかの有利なファクターがあったと推測する。一つ目は女王ファンフットサルクラブレディースの急激な選手の入れ替え。今季のメンバーは昨年と5人が入れ替わった。個々の力は大きくは変わらないはずだが、経験という面での差は否めなかった。オスカー監督をもってしてもこの差は埋めきれなかった。

二つ目にスライディング解禁というルール改正も大きく関与したと感じる。今までダメだったプレイがOKとなった場合に一気にハードルが下がる事は過去にもあった。よくサッカー、フットサルの審判の講習の時に「ハンドは選手がボールをコントロールする意図があったかどうかを判断して笛を吹くように」と指導される。だからボールが手に当たっただけでは審判は容易に笛は吹かない。フットサルでショルダータックルが解禁された時もハードルが一気に下がり「サッカーならファール取らない?」と思うプレーが増えたように感じた。今回のスライディング解禁も同様だった。スライディングがダメと思っていた審判がスライディングはOK=笛を吹かないとなるとなかなか笛を吹きづらくなった事もあったと思われる。まだ基準についても定まっていない時期だっただけにサッカーで普段からスライディングに慣れている武蔵丘短大には優位に働いたかもしれない。

 

「メインはサッカー」と言うチームに女王の座を明け渡した事実をフットサルプロパーのチームはどのように受け取っただろう。ひょっとしたら武蔵丘短期大学シエンシアは一気に女子フットサル界のヒールになってしまったかもしれない。しかし考えてみれば同じチームが5連覇していた状況は少々異常だったとも言える。女子フットサル界に一石を投じたかもしれない武蔵丘短期大学シエンシアの優勝は今後の日本女子フットサルのさらなる発展につながるものと信じたい。

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